早口スタッツ解説━━Possessionと関連スタッツ

こんにちは、らんそうるい(@rnsr0371)です。この記事ではPossession(ポゼッション, 以下poss)というバスケットボールのアドバンスドスタッツを解説します。好評だったらシリーズ化するかもなので、何か新しい発見があったら、ぜひ、いいね・RTをお願いします。

Possessionとは何か?

possは、攻撃回数を指します。試合の映像やプレイバイプレイから集計することもできますが、この記事ではスタッツから推定したpossに絞って説明します。

possについて詳しく解説する前に、解説の切り口について簡単に説明します。まず、possには、推定式が2つあることを取り上げます。次に、これらの推定式から計算される個人のpossはいずれも「使用したposs」であって「出場したposs」ではないことを説明します。

possの推定式

possの推定式としては、次の2本がよく知られています。

  • poss = fga + 0.44 * fta+ tov – oreb (1)
  • poss = fga + 0.44 * fta + tov (2)

fgaはフィールドゴール試投数、ftaはフリースロー試投数、tovはターンオーバー、orebはオフェンスリバウンドです。チームに対して計算することも、選手個人に対して計算することもできます。

(1)のpossと(2)のpossの違いは、最後にorebを引くか、引かないかです。意味的には、オフェンスリバウンド前のファーストチャンスと後のセカンドチャンスを一つの攻撃としてまとめているのが(1)のpossで、区別しているのが(2)のpossです。日本では(1)のpossを「オフェンスリバウンドを引くposs」、(2)のpossを「オフェンスリバウンドを引かないposs」と呼んで区別することがあります。アカデミックな文献では、(1)のpossは単純にpossと呼び、(2)のpossはplayと呼ぶことがあります(playはほぼ見かけない印象です)。

ftaにかかっている0.44についても説明します。これは、フリースロー全体に占めるpossession ending free throwの割合です。possession ending free throwとは、バスカンのフリースローや、2点シュートでシューティングファウルを受けた時の2本目のフリースローなど、最後のフリースローのことを指します。すべてのフリースローが2点シュートのシューティングファウルによるものなら0.5になる数値なのですが、実際にはバスカンのワンスローや3点シュートのシューティングファウルがあるため、ぴったり0.5にならないというわけです。

使用したpossと出場したposs

推定式を再掲してみます。

  • poss=fga + 0.44 * fta + tov – oreb (1)
  • poss=fga + 0.44 * fta + tov (2)

これらの推定式を使って、選手個人のpossを計算すると、その選手が終わらせたposs(=使用したposs)の回数を割り出すことができます。ここで注意したいのは、使用したpossと出場したpossは違うということです(チームについてのpossは攻撃回数そのものであると解釈でき、この問題は生じません)。

出場したpossというのは、その選手が使用したpossだけでなく、チームメイトが使用したpossも含めたpossのことです。出場したpossを割り出すには、プレイバイプレイや映像から集計する方法と、後述するPaceから推定する方法があります。Paceについて知っている方のために、出場したposs(=poss_oncourt)をPaceから計算する式を示しておきます。この式は後で再掲するので覚えておく必要はありません。

  • poss_oncourt = Pace * min% (3)

min%はチームの総試合時間に占める選手個人の出場時間の割合です。

possの関連スタッツ

possからさらに計算されるスタッツとして、usg, ppp, ortg, pace, 出場したpossについて説明します。

usg%

チームのポゼッションのうち、何%のポゼッションをその選手が使ったのかを表すスタッツです。

  • usg% = poss_player / poss_team (4)

poss_playerは関心のある選手の、poss_teamは所属チームのpossです。(4)式の計算式に「チームの総試合時間/選手の出場時間」をさらに掛けた、フル出場換算のusg%も頻繁に使われます。

ppp, ortg

pppは使用したposs一回あたりの得点で、得点期待値とも呼ばれます。ortgはオフェンシブレーティングと呼ばれ、poss100回あたりの得点です。それぞれ1.0以上, 100以上から攻撃効率が良いと解釈することが多いです。

  • ppp = pts / poss (5)
  • ortg = pts / poss * 100 (6)

pace

paceは試合の攻守の切り替わりの激しさを表すスタッツです。

  • pace = (poss_self + poss_opp) / 2 (7)

poss_selfは自チームの、poss_oppは相手チームのpossです。両チームの攻撃回数の平均です。

(7)からさらに「40/試合時間」を掛けて、40分換算のpaceにして使われることが多いです。

出場したposs

paceは両チームの攻撃回数の平均値であるため、40分のうち何%その選手が出場していたかが分かれば、つまりmin%が分かれば、出場したpossを近似することが期待できます。そのため、(3)式が意味を成すわけです。

  • poss_oncourt = Pace * min% (3)

min%はチームの総試合時間に占める選手個人の出場時間の割合です。

*この計算方法はBPM 2.0の計算式に含まれているものですが、単純にチームのposs*min%の方が出場時間中の攻撃回数の近似としては良いのではないかと思ってます。何かご存知だったらDMでこっそり教えて欲しいです。

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