Bリーグで連戦1日目と2日目の3Pシュート成功率は相関するか?
結論
相関するとは言えない。メタ分析によって、選手ごとに計算した相関係数を統合した結果、得られた統合相関係数の値は極めて小さいものだった。
イントロダクション
前日のスタッツが今日のスタッツと相関するかどうかは重要です。NBAでは過去のデータを用いて、毎日更新するオールインワンメトリクス(e.g., DARKO/DPMやDRIP)が開発されています。Bリーグでもこのようなメトリクスが開発できるかどうかは、前日のスタッツが今日のスタッツと関連するかどうかに懸かっています。
NBAでは前日と今日のスタッツに関連があるようです。DARKO/DPMやDRIPの計算方法は不明ですが、スタッツを時系列データとみなしてモデルを立てているようです。このことは、NBAでは前日のスタッツから今日のスタッツを予測できることをことを暗示しています。
では、Bリーグでは前日と今日のスタッツが相関するでしょうか? 同じバスケットボールというスポーツなのだから、NBAで見られた時系列性がBリーグでも見られる可能性はあります。一方で、試合日程の過密さがNBAとBリーグでは異なるため、Bリーグでは一つ前の試合と今日の試合のスタッツとは関連しない可能性もあります。
そこで、手始めにBリーグで前日と今日の3Pシュート成功率が相関するかどうかを調べました。
データセット
B1 2020-21レギュラーシーズンのボックススコアから、2日連続で試合に出場した選手を抽出しました。2連戦はこのシーズンでは20組程度でした。
選手ごとに1日目の3Pシュート成功率と、2日目の3Pシュートの成功率を計算しました。
最後に、1日目の3Pシュート試投数のシーズン合計が30本以上、かつ2日目の3Pシュート試投数のシーズン合計が30本以上の選手のみを抽出しました。
解析方法
メタ分析という方法を用いて、選手ごと計算された1日目と2日目の3Pシュート成功率の相関係数を統合しました。統合した相関係数を統合相関係数と呼ぶことにします。
統合相関係数のモデルとして、母数モデルを用いました。
結果
選手ごとに計算した1日目と2日目の3Pシュート成功率の相関係数のヒストグラムは次のようになりました。
母数モデルを用いて計算した統合相関係数の値は、0.008でした。95%信頼区間は[-0.029, 0.051]でした。
考察
統合相関係数は0.008であり、極めて小さい値でした。このことから、B1 2020-21レギュラーシーズンの3Pシュート成功率は時系列性を有していないことが分かりました。
他のスタッツでは時系列性が見られるかどうか調べることが今後の課題と言えるでしょう。